1.税率
平成16年分の、所得税及び住民税の税率は、次のとおりです。
課税所得金額 |
税率 |
|
330万円以下 |
10% |
330万円超 |
900万円以下 |
20% |
900万円超 |
1,800円以下 |
30% |
1,800万円超 |
|
37% |
課税所得金額 |
税率 |
|
200万円以下 |
5% |
200万円超 |
700万円以下 |
10% |
700万円超 |
|
13% |
2.所得控除
控除対象配偶者(合計所得金額 38万円以下の配偶者)に対する配偶者特別控除が廃止されました。
3.住宅ローン減税
(1)住宅借入金等の年末残高の限度額、ローン控除の控除率、及びローン控除の期間は次の通りです。
居住の用に供する時期 |
住宅借入金等の年末残高 |
控除期間 |
控除率 |
平成13年7月1日から
平成16年12月31日まで |
5,000万円以下 |
10年間 |
1% |
(2)住宅の敷地の用に供する土地等を購入するための借入金等も、住宅ローン控除の対象になります。(一定の要件があります)
(3)対象となる中古住宅の建築後経過年数は、次のとおりです。
耐火建築物 |
25年以内 |
耐火建築物以外 |
20年以内 |
(4)特定の居住用財産の買い替え等の場合の譲渡損失の繰越控除と、住宅ローン控除との併用は認められます。
4.土地譲渡益課税
平成16年度税制改正により、大幅に改正されました。
(1)土地建物等の長期譲渡所得(その年1月1日における所有期間5年超)の課税の特例
@)税率が引き下げられました。
現行 |
改正後(平成16年1月1日以後の譲渡) |
特別控除後の譲渡益
26%(所得税20%、住民税6%) |
特別控除後の譲渡益
20%(所得税15%、住民税5%) |
A)長期譲渡所得の100万円特別控除が廃止されました。
B)優良住宅地の造成等のための長期所有土地の譲渡についても税率が引き下げられます。
現行 |
改正後 |
特別控除後の譲渡益 4,000万円以下の部分 …20%(所得税15%、住民税5%)
4,000万円超の部分 …26%(所得税20%、住民税6%) |
譲渡益 2,000万円以下の部分 …14%(所得税10%、住民税4%)
2,000万円超の部分 …20%(所得税15%、住民税5%)
|
(2)収用交換等の5,000万円控除の規定を使ったとき等は、軽減税率の適用はできなくなりました。
(3)居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得(その年1月1日における所有期間10年超)の課税の特例
6,000万円以下の部分 |
14%(所得税10%、住民税4%) |
6,000万円超の部分 |
20%(所得税15%、住民税5%) |
(4)土地建物等の短期譲渡所得の課税の特例
短期譲渡所得の税率が、一律39%(所得税30%、住民税9%)になりました。
国等に対する譲渡については、20%(所得税15%住民税5%)になりました。
(5)土地建物等の譲渡による損失の金額と、土地建物等の譲渡による所得以外の所得との損益通算ができなくなりました。
(6)特定の居住用財産の譲渡損失の繰越控除等の創設
平成16年1月1日から平成18年12月31日までの間に、その年1月1日における所有期間が5年超の居住用財産をローン残高以下で譲渡した場合に、その譲渡による損失を3年間繰り延べる。
(この特例については、その譲渡による損失の金額を他の所得と通算し、またさらに損失が残るときは、翌年以降への繰り延べが認められます。)
5.その他 事業所得の特例 (青色申告者に限ります)
(1)中小企業投資促進減税(取得金額要件引き上げの上、期間延長)
平成16年4月1日から、平成18年3月31日までの間に、一定の機械及び装置、器具及び備品又は車両運搬具を取得して、その事業の用に供した場合には、一定の要件のもとに、取得価額の30%の特別償却または取得価額の7%(所得税額の20%を限度)の税額控除を受けることができます。
機械及び装置 |
1台または1基 180万円以上(改正前 160万円以上) |
一定の器具及び備品 |
1台または1基 120万円以上(改正前 100万円以上) |
車輌運搬具 |
車両総重量が3.5トン以上のもの |
(2)少額減価償却資産の取得費の損金算入(不動産・事業・山林所得)
平成15年4月1日以後、取得価額が30万円未満の減価償却資産を取得して、事業又は業務の用に供した場合には、その事業又は業務の用に供した年にその取得価額の全額を必要経費に算入することができます。
なお、この適用を受けるためには確定申告書に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書の添付が必要です。
(3)情報通信機器等の特別償却
平成15年1月1日から平成18年3月31日の期間内に、注記の特定情報通信機器等を取得又は製作してその個人の事業の用に供した場合には、その事業の用に供した日の属する年分の減価償却は、次の算式で計算した合計償却限度額の範囲まで行うことができます。また、特別償却費は、償却不足がある場合には、翌年まで繰り越すことができます。
また、特別償却に代えて、取得価額の10%の税額控除を選択することもできます。この場合には、所得税額の20%が限度となります。
(注)特定情報通信機器等
@電子計算機 Aデジタル複写機 Bファクシミリ CICカード利用設備 Dデジタル放送受信設 備 Eインターネット電話設備 Fルーター又はスイッチGデジタル回線接続装置 Hソフトウエアで、@〜Gまでについては、その年における取得価額の合計額が140万円以上、Hについては、その年における取得価額の合計額が70万円以上のもの。 |
(4)青色申告特別控除制度
青色申告者である事業者(事業的規模の不動産の貸付及び事業を営む者)は、次の区分に応じて、それぞれの金額の青色申告特別控除額が控除できます。 |
@ |
複式簿記の方法で作成した貸借対照表を添付し、かつ期限内に申告書を提出 |
55万円 |
A |
簡易な記録の方法で損益を計算し、かつ貸借対照表を添付した申告書を提出 |
45万円(平成17年分以後廃止) |
B |
簡易な記録の方法で損益を計算し、貸借対照表を添付していないもの |
10万円 |
(5)白色で農業所得の申告をされている農家の方へ
平成13年分申告より、 農業所得標準が廃止されました。
平成15年分の収入金額が300万円以上の場合平成16年分の申告は、収支計算を行わなければなりません。平成15年分の収入金額が300万円未満の場合は、収入金額を基にして、経費目安割合を使用して計算することができます。
農業所得のある方は、収入の多寡にかかわらず、収入に関する記帳書類や出荷伝票など 収入金額のわかる書類が必要です。なお、家事消費については、税務署で示している家事消費等の基準金額を使用して計算してもかまいません。
6.平成17年1月1日以後の所得税
(1)住宅ローン控除の改正
住宅ローン控除の内容が居住年により、次のように縮小されます。
居住年 |
控除期間 |
住宅借入金等の年末残高 |
適用年・控除率 |
平成17年 |
10年間 |
4,000万円以下の部分 |
1年目〜8年目 1%
9年目及び10年目 0.5% |
平成18年 |
同上 |
3,000万円以下の部分 |
1年目〜7年目 1%
8年目〜10年目 0.5% |
平成19年 |
同上 |
2,500万円以下の部分 |
1年目〜6年目 1%
7年目〜10年目 0.5% |
平成20年 |
同上 |
2,000万円以下の部分 |
1年目〜6年目 1%
7年目〜10年目 0.5% |
(2)公的年金等控除額の引き下げと老年者控除の廃止
平成 17 年分以後の所得税では、 65 歳以上の高齢者についても公的年金控除額が、
65 歳以下の場合と同じになります。ただ、標準的な年金受給世帯の急激な負担増を避けるため、最低保障額を50
万円加算して 120 万円としています。
また、合計所得金額 1,000 万円以下の場合に認められていた老年者控除も廃止となります。
(3)青色申告特別控除額
次のように改正されました。
記帳方法 |
現行 |
平成17年分以後 |
正規の簿記の原則に従って記帳 |
55万円 |
65万円 |
簡易な簿記の方法により記帳 |
45万円 |
10万円 |
上記以外 |
10万円 |
10万円 |
|