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徒然なるままに
徒然なるままに
2004年 師走 … 変化の兆し

 年末を前にして、2005年度予算の政府案が決まった。先の参議院議員選挙では、全政党挙げて改革だの年金だのと騒いだ割に、年金事務費は1,000億円が保険料から賄われることが決まったり、整備新幹線の着工を筆頭に大型公共工事が目白押しで、政府の歳出削減は小幅に終わった。国債、地方債あわせて公的部門の債務は膨らむ一方。来年からは所得税の増税、社会保険料負担の増加等個人負担は重くなる一方だ。
  それでも少しずつ、変化は起きている。情報化と、グローバル化の中で、公正と公平が官部門に対しても求められるようになってきた。平成のバブル崩壊後の景気の低迷、失われた10年の清算の過程で、民間部門は淘汰が進み、コンプライアンスと、情報公開の重要性が認識されつつある。国の論理よりも、第三者から見て何が正しいか、何が公正かということが判断の基準になりつつある。


2つの最高裁判決

  2004年10月15日、チッソ水俣病関西訴訟の最高裁判決は、原告側の勝訴となり、水俣病被害の拡大、放置について、国及び県の責任を認めた。公害防止、環境汚染に対し、あまりにずさんな国の姿勢に、司法の側から警報を発することとなった今回の判決は画期的ともいえる。エイズにしろ、BSEにしろ、問題が起きて、被害が拡大してからでないと規制しないという国の姿勢を今後見直さざるを得ないだろう。
  12月24日には旧日本興業銀行が行った旧住専向けの債権放棄についての追徴課税訴訟も最高裁判決で旧興銀が勝訴した。貸倒れ損失の損金算入について、債権全額の回収不能という基準を満たしていたかどうかが焦点だったが、最高裁は、回収不能の判断は、「債務者側だけでなく債権者側の事情も考慮し、社会通年に従って総合的に判断すべきだ」として柔軟な姿勢を示した。貸倒れ損失の是認は、その後の事業年度での貸倒引当金の実績法による損金算入限度額にも影響を及ぼす。企業会計では、不良債権を早期に償却し、経営の健全化を目指すことが要求されている。いつまでも不良債権を引きずらないよう、税の面でも、貸倒れの認識基準を緩やかにして、償却しやすくすることも必要である。
   

金融政策の方向転換

  同じく12月24日に金融改革プログラムが発表された。今までの不良債権処理から脱却して、「金融システムの活力」を重視した行政への転換を図るということである。銀行、保険、証券の垣根を取り払い、利用者本位の金融―サービスを行い、ITサービスも拡充する。地域経済に対しては、中小企業金融の円滑化を図る。中小企業の集中的再生に向けて整理回収機構の再生機能を見直すという。そして、金融行政の透明性、予測可能性を向上させる。不良債権処理に汲々としていた1年前とは打って変わった施策である。
今回の金融改革プログラムにおいて、偽造カード犯罪など金融犯罪防止のための対策の強化も謳っている。最近増加している、偽造カード犯罪等の場合、現行の法律では、実際に損失を被るのは個人でも、被害者はATMの設置者である銀行等金融機関という位置付けで、被害届は銀行等が出さなければならない。銀行はカードを偽造された個人の責任という立場で被害届を出したがらない。そのおかげで、不正引き出しによる被害の救済は進まないし、銀行等の対策もカードの偽造防止に限定されている。預金者保護の先進地域である欧米諸国では、カード被害については全面的に銀行が保証する。したがって、銀行は被害を最小限に抑えるために、預金者に1日にカードで引き出せる上限金額を自分で決めさせたり、異常な引き出しに対してはすぐにチェックをかけて口座をロックしてしまうような対策を講じているということを雑誌で読んだ。カード自体の機能の向上に加えて、このような預金者保護のための仕組みや法整備も重要である。
   

残された課題

  変化は、常に歓迎されるとは限らない。特に既得権益を手放さざるを得ないような変化に対しては、その抵抗はすさまじい。道路公団、郵政公社、社会保険庁、教育制度など、公的部門に対しての改革は遅々として進んでいない。社会保障制度の見直しも参議院議員選挙以来膠着状態である。しかし、いつまでも、旧態依然としていては国の財政が持たないところまで来ている。
  教育制度の改革も急務である。長年、教育現場は社会から隔離され、閉鎖された環境の中で校長を頂点とするピラミッド社会を形成していた。社会の多様化と情報化により、そのような環境が子供たちの教育に多大な弊害をもたらすようになってきた。不登校、校内暴力に始まり、引きこもり、少年犯罪の増加、ニートと呼ばれる就業不能の青年たち、これらすべてが教育制度によるとはいえないが、教育制度が、社会、企業のニーズに対応し切れていないことは確かであろう。
  また、わが国は、法治国家であるといいながら、法律についての教育がなされていない。専門家以外、正確な法律知識がない。また、その法律も非常に複雑で、おまけに抜け穴がたくさんある。このような状況を改善するには、やはり、学校教育に法律の授業を取り入れるべきではないかと思う。
   

納税者の権利

  今後、高齢化社会を迎えるに当たって、社会保障制度の見直しも重要である。負担と給付の問題、税と保険料の問題、世代間格差の問題、解決すべき課題が山積している。このような制度に関しての議論は、政府と、行政庁など税や保険料を使う側と、経団連その他の一部の利害関係者のみで行われている。税や保険料の負担者である一般国民の声はまったくといって良いほど反映されない。
  社会保障関係だけでなく、政策全般に、税の負担者である納税者の声をもっと取り入れるべきである。郵政民営化にしても、三位一体改革にしても、当事者の意見だけでなく、税を負担している納税者の意見を反映できる仕組みを作ってほしい。たとえば、確定申告時に、政策の是非と、行政に対する自由意見を書く欄を設けたアンケートをとるとか、税の使い道に関するサラリーマンの意見収集のコーナーを総務省のホームページに設けるとか…。
   

良いお年を

何はともあれ、動き始めた流れは止まらない。
来年は、酉年。
良い年になりますように!!
 
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