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徒然なるままに
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郵政民営化後の改革の行方

 平成17年9月11日の衆議院議員総選挙は、自民党の圧勝に終わった。
  郵政民営化反対論者や野党の面々は、敗因を、小泉首相のメディアを使った劇場型選挙手法に負けたとか、小泉首相の選挙技術に敗れたとか、表面上の「手法」に求めようとしているが、実は、敗因は、民意の読み違いにあったのではないだろうか。郵政民営化はその象徴であった。

 民営化反対派の、「国民の利便性のため」とか、「過疎地の郵便局を守ろう」という訴えは、国民には、「郵便局員の利便性のため」とか「特定局長を守ろう」と言う声にしか聞こえなかった。年金改革は、国民の関心の高い分野であったが、民主党は、年金の三者協議から降りてしまった。できるところから手を付けて改革を進めるのは当たり前のことだ。いきなりハードルの高い目標を掲げて、「自分たちとは意見が違うから協議に参加しません」という態度で臨んだことにより、民主党は「改革を阻む抵抗勢力」とみなされた。

 総選挙での勝利により、抵抗勢力の力が一気に弱まり、民意を受けての構造改革が遂行できる下地ができた。小泉首相は、所信表明演説で、郵政民営化の実現とともに「構造改革の断行」を挙げ、国家公務員の定員の「純減目標」を設定する方針や、政府系金融機関の統廃合などの課題を列挙した。数値目標や達成年次などの具体策に乏しいとの批判はあったが、官僚の聖域と言われていた部分に大胆なメスが入ることが期待される。次に掲げるのは日本経済新聞の記事の見出しである。

  • 政府規模を大胆に縮減、「郵政」成立へ決意 (9月26日夕刊)
  • 国家公務員5%純減、民間議員今日提言
  • 人事院総裁提案 国家公務員1・2種 大卒採用を一本化
    幹部登用、実力で。官の反発は必至
  • 議員年金廃止 与党が検討着手「給付減⇒共済と統合」案軸に (以上9月27日朝刊)
  • 財団法人・3セク 大阪市22団体削減へ (9月27日夕刊)
  • 道路特定財源見直し明記 諮問会議工程表 来年度に方向性 (9月28日朝刊)
  • 道路特定財源見直し 首相「年内に方針」
    道路財源議論前倒し 自民税調で検討対象に族議員も一定の譲歩か (9月29日朝刊)
  • 郵政公社、200物件売却(社宅跡地など)年内メド、200〜300億円 (9月29日夕刊)
  • 厚生・共済年金 2009年度から段階統合 
    政府・与党検討 8年程度かけ 共済の上乗せ給付廃止
  • 道路関係税 「一般財源化」巡り綱引き 
       財務省 社会保障充当も視野
       国交省 「転用難しい」と強調
       政府・与党で工程表案も  (以上9月30日朝刊)

 

 このほかに、政府系金融機関の統廃合も、与謝野政調会長が、「相当の抵抗があるだろうが、なんとしてもやり遂げる」と決意を述べている。しかし、不安もある。国家公務員の純減には、各省庁が猛反対しているし、公務員試験の1種と2種の統合など、どれだけ官僚が抵抗するかわからない。道路特定財源の一般財源化など、何度か俎上に上ったものの、省庁の抵抗でいつも挫折している。

 国、地方の債務残高合計が国民の金融資産の総額に近づき、少子高齢化で社会保障費もうなぎのぼり、年金財政は破綻状態という中で官僚・公務員の不祥事が次々と明るみに出た。政治家も収賄の罪で何人も逮捕され、政官財の癒着により不必要な財政支出が行われてきたことがマスコミに暴露された。官僚をはじめとする上級公務員の特殊法人への天下りも批判を浴び、制度改革が叫ばれた。

 しかし、その批判に答えた省庁再編、官公庁の独立行政法人化の影で、逆に天下りのポストが増えた。さらに特殊法人の規制を行わなかったために不必要な特殊法人が雨後の竹の子の様にぞろぞろ作られ、小泉首相が官僚の手先になって天下り先ポストを増やしたのではないかとの憶測さえ飛んだ。特殊法人トップへの天下りが問題になれば、トップだけは民間人を据えて、ナンバー2以下に天下り、国民の目をごまかそうとする。いつの頃からか官僚は、一般国民の共通の敵になってしまった。

 財政赤字や巨額の公的債務の話題になると決まって、特殊法人と天下りを何とかしてほしいという声があがる。国の一般会計は約83兆円であるが、特別会計は重複分を除いた純額でも200兆円の規模である。さらに一般会計予算のうち40兆円以上が特別会計に回っているという。特別会計の内容についてはそれぞれの省庁が権限を持ち、国会での審議も承認も要らず、国民にももちろん知らされない。この特別会計を支えるのが特定財源といわれるもので、ここから、各特殊法人に予算が配分され、天下り役人の報酬に化けている。不必要な道路の予算もこの中で付けられる。

 特別会計を廃止し、特定財源を一般財源に組み込み、歳入歳出を国会での審議の対象にすれば、それだけでも無駄はずいぶん省けるはずだ。特殊法人については、公的な補助金および、公的機関からの手数料その他の収入が合計で30%以上を占めている場合等にはその財務諸表を公開する義務を負わせるなど、公金の使途の透明化を図るべきである。監査法人による監査の義務付けも必要であろう。身内による甘いチェックでは、国民の共通の財産である税を守れない。

 今回の総選挙で自民党の派閥の力が弱まり、族議員の暗躍の場が狭まったことは、改革への最大の追い風である。小泉首相がせっかく打ち出した方針が官僚・族議員によって骨抜きにされることなく、日本の財政が健全化し、経済が活性化することを祈る。

郵政民営化後の改革の行方を国民は注視している。

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